今井 裕紀子 IMAI Yukiko ー 助教 ー

■ 生殖発生遺伝学
- 大学院理工学研究科生命科学部門生体制御学領域 所属
- 博士前期課程生命科学系専攻生体制御学プログラム 担当
- 理学部生体制御学科 担当
研究について
地球上の生物は、なぜ異なるかたちをしているのでしょうか。私達が一人一人違うのはなぜでしょうか。このような生物種間・個体間の違いは、生物の設計図であるゲノム情報の違いによるものです。そして、ゲノム情報の多様性を生む上で重要な役割を果たすのが、生殖細胞(精子や卵子などになる細胞)で起こる相同組換えです。ヒトを含む多くの生物は父親由来と母親由来のペアになった相同染色体を持ちます。精子や卵子をつくる過程では、組換えによる相同染色体間の切り貼りで、遺伝情報の混ぜ合わせが起きるのです。また、この”切り貼り”の過程は、1ペアの相同染色体を2つの娘細胞へ1本ずつ確実に分配する上でも重要であり、組換えの異常が不妊や遺伝病の原因となることも知られています。つまり、生殖細胞における相同組換えは、次世代へ遺伝情報を確実に伝えつつ、多様性をもたらすという2つの役割を持つのです。私達は、生殖細胞で組換えがどのように起こるのか、また、その過程を経て精子や卵子がどのようにしてできるのか研究しています。生殖細胞における組換えは、有性生殖を行うほとんどの生物種に見られますが、組換えの起こりやすいゲノム領域やその制御機構は種によって様々です。小型熱帯魚であるゼブラフィッシュは、ヒトの組換えに似た特徴を持ち、培養ディッシュの上で精子形成の全過程を再現することができる優れた研究モデルです。これらの利点を活かし、生殖細胞のライブイメージングを中心とした様々なアプローチから、遺伝的に多様な精子や卵子の形成メカニズムを研究しています。


