埼玉大学 理学部 / 大学院理工学研究科
生体制御学科 / 生体制御学プログラム
Department of Regulatory Biology, Saitama University

竹澤大輔 教授

竹澤 大輔 TAKEZAWA Daisuke ー 教授 ー

■ 植物生理学

  • 大学院理工学研究科生命科学部門生体制御学領域 所属
  • 博士後期課程理工学専攻生命科学コース 担当
  • 博士前期課程生命科学系専攻生体制御学プログラム 担当
  • 理学部生体制御学科 担当
研究について

 地上は植物であふれています。山には森林が広がり、野原には様々な草花が自生する風景が当たり前のように見られます。地上が現在のような姿なったのは、古生代の今から4億5千年以上前に、植物の祖先である藻の仲間が水中からの上陸に成功したことがきっかけです。上陸した植物にとって、乾燥したり、温度が極端に変化する陸上環境は、はじめは大変厳しいものでしたが、度重なる乾期や氷期にも耐えて、現在では砂漠や高地、南極大陸にまで植物はその生育範囲を広げています。
では、植物が厳しい陸上環境にうまく適応できた秘訣はなんだったのでしょうか。それを明らかにするのが「適応進化」の研究です。私は、植物の適応進化の研究材料として「コケ植物」を用い、温度や乾燥の影響についての生理学的な研究を行っています。なぜわざわざコケ植物を用いるかというと、それらの多くが、はじめて地上に現れた当時から変化の少ない「祖先的な形質」をもち、しかも他の植物にはない環境変化への高い適応能力を備えているからです。
たとえば生物にとって水はなくてはならない要素ですが、コケ植物は水のない,ほぼ乾燥した状態で何年も生き続けることが可能です。このような性質は、植物が古生代の厳しい陸上環境に適応して生きていく上で、とても重要だったはずです。コケ植物の温度や乾燥への適応に関わる遺伝子や細胞のしくみを解明し、より進化した植物のしくみと比較することで、陸上植物の適応進化に真に重要であった要因を突き止めたいと思っています。このような研究から、たとえば、異常気象や干ばつ、地球規模での温度変化など、現代において植物が直接関わる様々な問題を解決するヒントが得られるのではないかと期待しています。

研究業績

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