埼玉大学 理学部 / 大学院理工学研究科
生体制御学科 / 生体制御学プログラム
Department of Regulatory Biology, Saitama University

川村哲規 准教授

川村 哲規 KAWAMURA Akinori ー 准教授 ー

■ 分子発生生物学

  • 大学院理工学研究科生命科学部門生体制御学領域 所属
  • 博士後期課程理工学専攻生命科学コース 担当
  • 博士前期課程生命科学系専攻生体制御学プログラム 担当
  • 理学部生体制御学科 担当
研究について

 私たちのからだは、どのようにして形成されるのでしょうか。私たちの生命が誕生する受精の際に、数万個の遺伝子を両親から受け渡されます。そして、それらの遺伝子が適切なタイミングで協調して働くことで、ひとつの受精卵から機能をもった細胞集団である組織や器官、さらには秩序だった個体が形づくられます。このような過程に、どのような遺伝子がどのように関わっているのかを分子レベルで明らかにする研究が、私が取り組んでいる「分子発生生物学」です。発生生物学の研究を行う上で大切なことのひとつは、発生している胚を直に観察することです。簡単なことのように思えるかもしれませんが、そんなに容易ではありません。例えば、ほとんどの哺乳類は母親の胎内で、鳥類は卵の殻の中で発生が進行するので、発生過程を追うことは困難です。この難点を解決してくれるモデル生物が現在私の研究に用いているゼブラフィッシュという熱帯魚です。ゼブラフィッシュは、体外で卵が受精し、その胚が透明であることから内部の構造を詳細に観察することができます。この利点を生かして、脊椎動物の発生に共通してみられる仕組みを見出すことを目指しています。しかしながら、ただ漫然と観察しているだけでは新しい発見はなかなかありません。自らが正しい問いを発して、適切に実験をしたときに、ゼブラフィッシュの卵は思いも寄らなかった美しい答えを指し示してくれることが「たまに」あります。そのような時こそ「研究は面白い」と感じる瞬間です。埼玉大学で学生たちとひとつでも多く共有できたらと願っています。

(具体的な研究テーマ)

小型魚類のゼブラフィッシュを用いて、脊椎動物に普遍的な発生メカニズムを見出すことを目指しています。具体的には、発生過程に異常を示す突然変異体の単離およびその解析と発生過程における遺伝子発現の制御機構について研究をしています。

研究業績