埼玉大学 理学部 / 大学院理工学研究科
生体制御学科 / 生体制御学プログラム
Department of Regulatory Biology, Saitama University

塚原伸治 教授

塚原 伸治 TSUKAHARA Shinji ー 教授 ー

■ 神経内分泌学、神経組織学

  • 大学院理工学研究科生命科学部門生体制御学領域 所属
  • 博士後期課程理工学専攻生命科学コース 担当
  • 博士前期課程生命科学系専攻生体制御学プログラム 担当
  • 理学部生体制御学科 担当
研究について

 脊椎動物は有性生殖をおこなって子孫を残します。雄と雌という二つの性によって営まれる生殖の方法は、性質が親とは異なるさまざまな個体を作り出し、生物種内での多様性を生じさせます。私たちヒトにも、男と女という二つの性があり有性生殖をして子孫を残します。子孫を残すことは生物とって重要なことですが、有性生殖をする動物の場合、個体がそれに備わった性に応じた機能を働かせることが生殖をおこなう上で必要不可欠です。また、異性を惹くことや異性に惹かれることも重要な要素になります。ほ乳動物は、生殖をおこなうため、雌雄それぞれに特有な行動(性行動)を起こします。性行動は脳によって支配されており、生殖腺から分泌される性ステロイドホルモンが性行動の発現に関係しています。しかし、雄性動物に雌性ホルモンを与えても雌性行動は起こらず、雌性動物に雄性ホルモンを与えても雄性行動は殆ど起こりません。つまり、性行動を支配する脳が雌雄で違っているのです。脳の中には神経細胞が集まる神経核と呼ばれる部分があり、動物やヒトの脳の中には形や大きさに性差がみられる神経核(性的二型核)が存在しています。構造の性差が生じた神経核の働きが、脳機能の性差を生み出しているのです。脳構造の性差形成は発達期より開始され、発達期の精巣から分泌されるアンドロゲンが作用すると脳が雄型に分化します。一方、雌性個体は発達期にアンドロゲンが作用しないので脳が雌型になります。興味深いことに、発達期の雌性動物にアンドロゲンを与えると遺伝的には雌であっても脳が雄型になり、アンドロゲンの作用が阻害された雄性個体は脳が雌型になってしまい、遺伝子と脳の性の不一致が起こります。このようなホルモンの作用に依存した脳の性決定と発達は脳の性分化と呼ばれています。私たちは、ほ乳動物の脳の性分化のしくみを理解するため、脳構造の性差形成のメカニズム、動物の性行動を制御する神経機構、これらに関わる性ステロイドホルモンの作用機序について、ラットやマウスを用いて研究を行っています。
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研究業績